-----僕が死んだら、 僕のことを 写真に撮っていいし、 それを永遠に あなたのものにしてもいい----- 世界で最初の写真技術、それは紫がかった金属光沢と その脆さのために蝶の翅(はね)にも喩えられた、 磨き抜かれた銀の板に鏡像を写す銀板写真(ダゲレオタイプ)。 人々は”記憶の鏡”とも呼ばれた銀板写真に 生前その姿を収めることの叶わなかった愛する身内の姿を ときに生前と同じ様に洋服を着せ、ポーズをとらせるなどの ”演出”を施して撮影し、出来あがった写真を専用の容器に収めて 取り出しては眺めることで心のよすがとした。 -----記憶の底の湖に「未現像のまま」沈められて隠された アーネストとダニーのふたりの兄弟と、 町にやってきた銀板写真師(ダゲレオタイピスト)との間に結ばれた それぞれの”密約”の行方は-----。 描きおろしの表題作のほかに、”縄(ケーブル)”、”苔(モス)”、”梯子(ラダー)”、 ”鰊の骨(ヘリンボーン)”、”崖に登るジグザグの小径(こみち)”等 北方の島々に伝わるさまざまな意味の込められた編み物の文様(パターン)の エピソードを下地に、小さな金属製の籠の中に毛糸玉を入れ手首に吊り下げて携帯する クラッシックな手芸道具”ヤーン・ホルダー”に甘やかな帰服を捧げる 漁師の寡婦の物語を描いた 「The Widow of fisherman can't stop Knitting.」を巻頭におさめる。 蝶の翅の紫がかった光沢、豪奢と静謐な脆さを見事に体現した 秋田和徳氏による装幀デザインのカバーは圧巻。
by 2spangle
| 2012-08-19 15:50
| 著作物/List of works
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